手や指、肘を使い、時には簡単な動作をしてもらいながら、
優しく身体に触れていきます。
タッチの強さは、クライエントさんのお身体に手を載せる程度の繊細なものです。
現在、セッションにおいて用いる繊細なタッチは、イールドと呼ばれる技法を
用いております。(イールドについての詳細は、こちらを参照)
イールドについて簡潔に述べると、生物の組織(筋肉、筋膜、骨、内臓など)を構成している細胞の習性を活用したものです。
その効果は、クライエントの心身を深いリラクゼーションに導く他、あらゆる動きの際、ベースとなる足や座面にしっかりとコンタクトできるようになること、そして身体の中や
その周囲の空間に対して、広がろうとする働きを促すことなどが挙げられます。
タッチが繊細である分、圧をかけられることを好まない方、適さない方(骨粗しょう症や妊産婦の方など)、
服を着たままでもできるので、肌を見せるのに抵抗がある方にも、安心して受けることができると思います。
もちろん、典型的なロルフィングの技法である、スキルフルタッチ(筋膜リリース)をベースとした、
ある程度の圧を用いるやりかたで受けることもできますので、こちらをご希望される方はおっしゃってください。
(タンクトップに短パンなど、お着替えのご用意をお願いいたします。)
まずは、お話を伺います。
その後、身体を動かして(歩いたり、膝を屈伸したり)頂きながら、私だけでなく、
クライエントさん自身にも、「いま自分の身体はどんな感じがしますか?」といった
問いかけの中で、身体に意識を向け、気づいたことがあれば言葉にして頂きます。(約10分)
マッサージベッドに横たわっての施術(約70~90分)の後、ゆっくり時間をとって起き上って頂き、
必要に応じて椅子に座った状態でのベンチワークを行います。
最後に、施術前と同様に身体の動かしながら、ご自身の身体に意識を向けて、気づいたことがあれば言葉にして頂きます。
それに私が応えられることがあれば、ムーヴメントワーク※を行います。(約10~20分)
このようにして、ベッドで横たわった状態から徐々に日常の身体の状態に近づけ、セッションで起こった身体の変化を
日常生活にもつなげていくように、セッションを終えていきます。(合計 約90~120分)
※ムーヴメントワークとは、新しい動きを提案する中で、時にはクライエントさんの動きに添うようにロルファーの手を用いながら行うセッション。
私とクライエントさんが一緒になって、身体の動きを通じて身体の変化を促したり、新しい動きや変化した身体を、
神経-脳のシステムを通じて学んでもらう、といったところです。
10回のセッションを通じて、クライアントは日常生活で痛みやストレスを和らげたり、
仕事や趣味の場での活動をより活き活きとしたものにできる、
"自分の体に優しい体の動かし方"を学んでゆきます。
表層(スリーブ)のワーク
深層(コア)のワーク
セッション1
<呼吸を楽にする>
今後変化していく身体への準備です。上半身、背中や肋骨のまわりなどを中心にワークします。
セッション2
<地に足をつける>
身体の土台である膝から足、足の裏をワークします。
セッション3
<身体を前後に広げる>
身体の両サイド(頭から足まで)をワークし、身体の前後のバランスを確立します。
セッション4
<脚と骨盤を自由にする>
脚の内側、足の付け根から骨盤底まで働きかけ、脚を骨盤から自由にし、コア(内臓のスペース)へワークする準備をします。
セッション5
<大腰筋に働きかける>
骨盤の前側が、このセッションの範囲です。
歩く時に重要となる、大腰筋に働きかけます。
深層(コア)のワーク
統合のワーク
セッション6
<背骨を自由にする>
骨盤をはじめ、身体の後側がこのセッションの範囲です。背骨に自由な動きが出るようになるとともに、コアのサポートを確立します。
セッション7
<首から上を自由にする>
首、頭が、このセッションの範囲です。首から上を、胴体から自由にします。
セッション8
<全身を繋げていく 1>
上半身か下半身か、どちらかを決め、上半身なら腕または脚と胴体(コア)をつなげ、下半身なら胴体(コア)と脚をつなげて統合していきます。
セッション9
<全身を繋げていく 2>
セッション8で行わなかった方(上半身or下半身)をワークし、統合します。
セッション10
<全身を統合する>
今までに身につけた感覚や動きを、自分の「もの」にします
ロルフィングは、アイダ・ロルフ(1896-1979)が生み出したボディワークで、
1940年代に誕生しました。
彼女はコロンビア大学で生化学の博士号を取り、
ニューヨークにあるロックフェラー研究所にも在籍した、優秀な研究者でありました。
この頃、彼女と彼女の子供は脊椎に問題を抱えていたことから、
それまで勤めていた仕事を辞めて、東洋医学や代替医療などを研究するようになります。
やがて、多くの人々に手技を施すようになり、
身体の構造や機能を整える手順(レシピ)を確立しました。
ロルフィングの特徴として、人の身体の筋膜という組織に働きかけること。
身体の構造を、重力の影響下にあることを考慮してワークを行うこと(重力との調和)。
心も含めた、その人の身体全体のバランスを重視していること(wholism)。などが挙げられます。
Gravity is the therapist. 「重力はセラピストである」 アイダ・ロルフ
筋膜とは、コラーゲン物質でできた半透明の膜で、筋肉や内臓、骨などを包み、
さらには蜘蛛の巣のように全身を覆っています。
この半透明の膜は、鶏肉などを調理する時に見かけたことがあるかもしれません。
この膜が水分を失ったり、外部からの衝撃を受けて、
ちょうどラップがくっつくように癒着すると、
包まれている中の組織は縮んだシャツを着ているかのように、
動きが制限されてしまいます。
そして、筋膜には可塑性といって、圧力をかけると水分を含み、
元のように柔軟性を取り戻す性質があります。
その他、筋膜や腱といった結合組織には、
身体の位置や重さといった感覚をとらえる
受容器(神経の末端で、センサーのような役割をする)が存在します。
ロルファーは、クライエント自身が本来の動きを取り戻すため、
手や腕を使って筋膜の癒着を解くとともに、身体の感覚にも働きかけます。
※詳しくはブログでも説明しておりますので、よろしければご覧ください。